-狭井神社-28 

左手に勤番所、右手には三輪山入山口がある。頂上の高宮神社まで約1時間を要する。入山料300円を払い、記帳をしてもらい、大神神社の襷をいただき、拝殿右横の祓串で自ら身を祓い登拝する。山頂までには、禊の滝(三光の瀧)と二つの磐座(いわくら)がある。神奈備に入るわけだから、飲食、喫煙は勿論のこと、カメラの撮影も禁じられている。襟を正して最初の一歩を踏み出せば、下界との遮断に身が震える。およそ600歩で滝から流水した小川に出る。この600歩みは楽しい。四季の移ろいを満喫しながらの散策といっていい。梅咲いて桜吹雪に新緑の香り、噎せる夏にも青嵐、楓の色に勇気をもらい、落ち葉踏み踏みサクサク登る。小橋を渡って500歩くらいで禊の滝だ。たった一筋の細い流れに白装束で身を清める人がいる。滝から600歩んだところに中津磐座がある。縄に御幣に用いられる紙を添えて大きく囲われている。下界を見下ろせば大鳥居がくっきりと見える。約400で最後の休息広場(勿論、私感だ)に出る。見上げれば汗の最後の一滴を搾り取るだろう上り坂が眼前に迫る。あと800を言葉無く、息を切らせば漸く高宮神社の小さな社のお出迎えだ。「幸魂 奇魂 守給へ 幸給へ(さきみたま、くしみたま、まもりたまえ、さきはえたまえ)」と3回唱え、三輪の神の守護を願う。運良く晴れて澄み切った空気の日には、北方遥か若草山や大仏殿を見ることができる。この社の左奥10mに三角点(467m)、100mには縄で囲まれた奥津磐座がある。さらにこの道を尾根伝いに行けば長谷寺に出る。